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エネルギー開発会社で経理・財務・人事を経験。目の前の人を笑顔にする、その先にあるもの

エネルギー開発会社で経理・財務・人事を経験。目の前の人を笑顔にする、その先にあるもの

金田 恵里さん
金田 恵里(かなた えり)さん
幼少期からピアノを始め、小学生から高校生にかけてピアニスト養成クラスにてピアニストを目指す日々を過ごす。アメリカやイギリス、ドイツ、フランスでコンサートや音楽祭に出演。高校は東京藝術大学 音楽学部附属音楽高等学校、作曲専攻に進学。もっと広い世界を見てみたいと大学受験を決意し、慶應義塾大学 文学部 人間科学専攻に入学。新卒で入社以降、約 10年間エネルギー開発会社にて勤務。経理・財務・人事を経験。

新卒で入社以降、約10年間、エネルギー開発会社に勤務している金田恵里さん。彼女は経理・財務・人事というキャリアとは正反対にも思える、芸術の世界にどっぷりと浸かった幼少期・学生生活を過ごしていました。ピアニストや作曲家を目指す場所にいた金田さんが、人生の大きな方向転換を行い、今のキャリアに至るまでを深掘りします。

文系から経理・財務の世界へ。エネルギー開発会社に入社した理由は「人」

−まずは金田さんのキャリアについて簡単に教えてください。

エネルギー開発会社に勤務しており、入社後4年間ほど、経理の仕事をしていました。ユーラシア・中東地域の子会社の決算・財務を担当していました。そして2015年3月から財務に異動し、プロジェクトの損益・資金収支の見通し策定や、会社全体の年度予算・業績予想、長期財務見通しの策定などを行っていました。2018年から人事に異動し、今はHRBP(HRビジネスパートナー)として仕事をしています。

−なぜエネルギー開発会社を選ばれたのでしょうか。

エネルギー開発に関心があったというよりも、グローバルで、様々な価値観を持った人と、大きな目標に向かってチームで動いていくような仕事をしたいと思っていました。ですから、エネルギー開発会社は今の会社しか受けていなくて、他に商社や海運業の会社を受けていました。

−その中から、今の会社を選ばれた理由は?

面接が楽しくて、社員の方から伝わってくる雰囲気が好きだと感じました。面接官の方に言われて今でも記憶に残っているのは、1人でやってもどうにもならない程大きな事業をやっているので、社員も、部署も、同業他社でさえも協力関係がベースにあるということ。だからあまり足の引っ張り合いのようなことが起こらず、協力的な人が多いのかなと思います。どの部署でも尊敬する人たちが多くて、入社する時の直感は正しかったなと感じています。

−グローバルな仕事に興味があったのはなぜでしょうか。

幼少期からピアノのコンサートや音楽祭で海外によく行っていたことと、大学生の時に2年で単位を取り切って、後の2年で様々な国に行ったんです。カナダやオーストラリア、アメリカの西海岸などに数ヶ月ずつ滞在するということをしていたので、仕事でも海外に行ったり、多様な価値観の人たちと働けたりすると良いなと思いました。

−金田さんは大学生の頃から経理や財務の勉強をされていたのでしょうか。

いえ、全く。文学部人間科学専攻だったので、社会心理学などを勉強していました。面接時は素直に「高校1年生で数学を学んで以来、数字は見ていないです」とお伝えしたのですが、経理に配属になり、その後も財務に配属になったので驚きました(笑)。でも本部長や上司は私が数字を苦手だと思っていなかったそうで、むしろ得意だと思っていたと言われ、驚きましたし嬉しかったです。

人と向き合う仕事をしてみたい。ファイナンスからキャリアを変え、人事への異動を希望

−今の会社で印象に残っているプロジェクトについて教えてください。

財務にいた時、会社の最大の収益源となるプロジェクトの損益・資金収支見通し策定とそのスキームづくりを任せていただきました。1つの条件をほんの少し動かすだけで、数千億円が変わる世界です。プロジェクトの会計処理を再現し、実態に近づけるように複雑なモデルを改良しながら、生産開始のタイミングの前後やコストの増加など、あらゆるシナリオに基づいて見通しを策定、数字の妥当性を検証しました。かなり荷が重い仕事だと感じましたが、任せていただいたことが嬉しかったですし、やり切れたことが自信に繋がりました。

−その後、人事部に異動になったのはご希望されたのでしょうか。

はい。経理や財務とファイナンスにキャリアが寄ってきた時に、他のことも経験してみて、自分の適性が他にないかを探ってみたいと考えたんです。財務の時に新卒採用に関わらせていただいて、人のことを考えて、人と向き合う仕事って素敵だなと感じたので、人事を希望しました。

−人事ではどのような仕事に携わられましたか。

今はHRBPがメインですが、これまで新人事制度の導入のタスクフォースリーダーや、DE&I、海外事務所支援など様々な業務を行いました。新人事制度の導入はジョブ型の制度に変えるというものでした。チェンジマネジメントに苦労しましたが、自分たちはなぜこの改革をやろうとしているのか、なぜやる必要があるのか、その目的と想いを忘れないよう意識して取り組みました。リーダーとしてチームメンバーとゴールを共有し、オープンな議論の中でブラッシュアップを重ねながらプロジェクトを進められたことは、よい経験になりました。

−どのような瞬間に、仕事のやりがいを感じますか。

エネルギー開発という大きな仕事ですが、エネルギーを世界に供給していることというよりも、身近な人たちの役に立てたときにやりがいを感じます。今のHRBPという仕事は各部署のジェネラルマネージャーや本部長と対話し、人的観点から事業推進・組織開発の支援を行うという役割です。対話を通じて信頼関係を築き仕事をする、その仕事が社員の働きがいに繋がるということにやりがいを感じます。

自分の能力・実力より高い目標を設定して挑戦することで、成長できる

−金田さんは幼少期からかなり本格的にピアノをやられていたのですよね。

幼稚園の頃からピアノを始め、小学生から高校生にかけてピアニスト養成クラスに通っており、アメリカやイギリス、ドイツ、フランスでコンサートや音楽祭に出演したこともありました。高校は東京藝術大学 音楽学部附属音楽高等学校の作曲専攻に通っていました。物心ついた時からそういった環境にいたので、次第に、本当に自分がやりたくてやっていることなのか分からなくなり常に複雑な感情を抱えていました。高校3年生の時、このまま東京藝術大学に進んで音楽の世界しか知らなくて良いのか悩みました。もちろん同級生の殆どはそのまま東京藝術大学に進学します。でももっと広い世界を見てみたいと思い、慶應大学を受験しました。

−音楽の道から大きく方向転換してみて、いかがでしたか。

音楽をやっていた時は、自分はそういう運命だと思い込んでいました。だからこそ厳しい環境でひとつのことを深く続けられて今でも精神的・体力的なタフさに繋がっているのだと思います。でも初めて大きな決断をして自分の意思で大学に入学したことで、自分で自分の人生を選択できるようになったと思います。

音楽も一度離れることで、今は純粋に楽しめるようになりました。仕事で海外に行っていたときに、現地社員の方のご自宅でピアノを弾かせていただいたら子どもたちが本当に喜んでくれたり、大好きな方の前でその方の想い出の大切な曲を弾いたら涙してくれたりした時に心から嬉しくて。自分は大きなコンサートホールで多くのお客様の前で演奏をするより、顔が見える、身近な人たちに何かを届けられる、喜んでもらえることが嬉しいんだ、と気付くことができたし、そういったツールを持てていることは感謝すべきことだな、と思いました。

−高校3年生から受験勉強をして慶應大学に入学したり、単位を2年で取り切って海外に行かれたりと、様々な挑戦をされてきたのですね。

学生時代は、自分で認識する自分の能力・実力より高い目標を設定して挑戦する、自ら新しい環境やそれまでの自分にとっては快適ではないかもしれない世界にも飛び込んでみる、というスタンスで過ごしていました。それが自分の成長に繋がると考えていたからです。

大学でもたまたま運が良くて入れただけなのではないか、自分は本当にここにいて良い存在なのかという思いがあり、自分を認めるために成績にも拘り、奨学金を取得しました。海外に行ったのも、これまで音楽関係で行った時は通訳者がついており、語学への苦手意識が強かったから。自分の能力や可能性に限界を設けずにトライすることで、成長したり、世界が広がったりしてきたと感じます。

軸と柔軟性、双方を持てる人になるために

−休日はどのように過ごされていますか。

陶芸が好きで、陶芸教室に通っています。元々は旅行で陶芸体験をする機会が何度かあって興味を持ったのですが、その時は全然上手じゃなかったんです。でも友人が陶芸教室に通っていると聞いて通ってみたら、すっかりハマってしまいました。料理も好きなので、料理をのせる器や花器を作っています。陶芸は私にとって集中できる、瞑想にも近いような時間になっています。最近は友人たちや同僚が作ってほしいとリクエストしてくれたり、大好きな料理人の方が自分のお店を持つときに使いたいとおっしゃってくださったり…こういったことが何より嬉しいです。

−陶芸以外に、仕事が忙しい時にリフレッシュする方法はありますか。

どんなに忙しくても料理は欠かさずやるようにしています。時間をかけなくても、自分がハッピーになれるものを作ることを心掛けています。あとは近所に行きつけのお店があって、夜にふらっと寄ってワインを飲んで、お店の方たちと他愛もないおしゃべりするのも好きですね。その他、ロードバイクで通勤や遠出をしたり、家では作った花瓶にお花をいけて、お香を焚いて、なるべく心地よく過ごせる空間を作るようにしたり、日常の中で自然にリフレッシュできるようにしています。

−ご自身の中で大事にしている軸は何でしょうか。

私の理想の女性像は、軸と柔軟性を兼ね備えていて、芯としなやかさがある人これは学生時代から漠然と抱いていたのですが、コロナ禍前によく海外旅行に行っていて、イタリアの田舎がきっかけで出会った日本人の女性がまさにそういった人だったんです。15歳ほど年上で、今ではお姉さんのような存在なのですが、彼女のどういうところが素敵なのかを書き出して、たまに見返すようにしています。「サバサバしていて、媚びなくて、でも愛情深い」とか「芯があってしなやかで、自分の人生を生きている」とか。

−具体的に書き出すと、自分がやるべきことも見えてきそうですね。金田さんは仕事でもプライベートでも、身近な人を大切にし、良い人間関係を築いていることが伝わってきます。人間関係を築く上で大切にされていることはありますか。

親しき中にも礼儀あり、です。価値観や考え方が違っていても良いのですが、お互いにリスペクトし合える関係でなければ心地よく過ごせないと思っています。それを大事にしている人と一緒にいる時間を大事にすることで、どんどん自分に合う環境が出来て、深い関係性が生まれていくのだと思います。

−10年後、どのような人になっていたいですか。

人事の仕事は、日々のコミュニケーションを通じて得る信頼が全ての仕事の基になる、人間力が求められる仕事だと感じます。そこでより価値を発揮するために、人事の知識と、ヒューマンスキル、双方を向上させたいと思っています。それをやりきったと思えた時には、自分の経験やスキル、あるいは感性を使ってより貢献できる、大切な人を笑顔にできる生き方は何なのか、を考える日が来ると思います。いつか小さいお店をもって料理ができたりしていたら、幸せですね。

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