Bloom talk
多くの人に支持され、指名が絶えないブライダルヘアメイクアーティスト服部由紀子さん。「情熱大陸」や直近では「芸能人格付けチェック」出演でも話題となった彼女は、どのように自身のキャリアを掴み取り、成功へと導いてきたのだろうか。2026年3月に行われたセミナーの様子をお届けする。
「みんなは○○だから」をまず捨てよう

篠崎:服部さんはブライダルヘアメイクアーティストとして結婚式に覚悟と責任感を持って向き合う姿が印象的です。今日は服部さんのキャリアを紐解きながら、「決断力」の秘訣について伺っていければと思います。まず服部さんは社会福祉大学を卒業されているんですよね。美容専門学校の前に社会福祉大学に通われたのはなぜだったのでしょうか。
服部:本当はすぐに専門学校に行きたかったのですが、4年制大学は絶対に出てほしいという両親の強い希望があり、社会福祉大学に通いました。でもヘアメイクへの思いは持ち続けていました。
福祉の現場で研修をしているときに感じたのは、福祉の仕事の素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらうにはおしゃれである方が良いのではないかということ。介護をする側はジャージのズボンにシャツなど「真面目な格好であるべき」と思われていますが、私は研修におしゃれをして行きましたし、それによっておじいちゃんおばあちゃんたちからも「ファッションが好きなんだね」と声をかけてもらっていました。若い人に介護職を魅力的に感じてもらうためにもファッション性は重要だと思います。いつか、福祉とヘアメイクを掛け合わせた仕事をしたいという想いも生まれました。
篠崎:どこでウェディング業界との出会いがあったのでしょうか。
服部:写真を勉強していく中でウェディング業界と出会いました。福祉は自分が歳を重ねてからもできるけれど、ウェディングは若い花嫁さんと近い目線であることも重要だし、体力勝負の仕事でもあります。まずはそちらに挑戦したいと決断しました。
篠崎:社会福祉大学を卒業後、美容専門学校に入ったときは親御さんが驚かれたんじゃないですか。
服部:そうですね。でも自分の中ではもう決まっていたことだったので。決断するまでは悩んで悩んで悩み抜くのですが、決めた後はもう突き進みます。独立した時も結果だけを報告しました(笑)。

篠崎:ブライダル企業にはどのように就職されましたか。
服部:就職活動は何十社受けるのではなく、1社に絞りました。絶対に受かってみせるという野心を持っていたので、集団面接でも手を挙げて喋る順番を最初にしてもらったり、「大学を卒業したばかりのひよっこですが、入ったら御社のためにやってみせます。私を採用しなかったらもったいないと思います」とアピールしたりしました。絶対にここで決めたいという気持ちが強かったので、恥ずかしいという気持ちはありませんでした。自分が選ばれるためには戦わなきゃいけない。躊躇したり恥ずかしがったりする暇はないと思っていました。
篠崎:転職支援をしている私たちから見ても、面接の時に自分がどういう人間かをプレゼンできる人は強いと思います。
迷うのは分析が足りていないから

篠崎:ヘアメイクアーティストとして、最初はマンションの一室からスタートしたと伺いました。
服部:コツコツ貯めた50万円を握りしめて、マンションの一室に小さなアトリエを作りました。でもなぜか自信はありました。当時はインスタグラムやSNSがなかったので、口コミを増やしていくしかありません。とにかく私の元に来てくれた目の前の人を最高の状態にしてお帰しする。それを10人、100人、1000人と広めていくことが私にとっては近道でした。
篠崎:ご自身の覚悟が決まった瞬間はいつだったと思われますか。
服部:覚悟というのは、途中で「これって覚悟だったんだな」と気づく瞬間があるものなのかなと思います。私はあまり目標を決めないタイプで、今日目の前の人をまず幸せにする、その結果を元に次に繋げていく…という形でやってきました。目の前にあることをコツコツとやっていくことが自分には合っていたと思います。
篠崎:まっすぐ突き進んでこられた印象がありますが、迷った時にはどう決断されてきましたか。
服部:安全をとるのではなく、後悔しない道を選んできたと思います。自分の生きがいになるものを選べば、その後は自分が責任を持てます。もし失敗しても「まぁ良いか」と思えると思います。
篠崎:迷って迷って、決められない…ということはないですか?
服部:迷うのは分析が足りないからだと思います。分析が出来ていれば、最終的に2択になった時、自分にとってのメリットデメリットを整理できるはずなんです。自分らしく生きていけるかとか、後悔しないかどうかとか。モヤモヤしている時は、自分の中にある思いをしっかり書き出して見える化します。友人にもたくさん話を聞いて、自分はみんなからどう見えているのか、どういう性格なのかを書き出しますね。多角的に情報を集め、書き出した上で分析し、決断します。
篠崎:これは今日来ている皆さんへのヒントを頂きましたね。
ポジティブに「生き急ぐ」

篠崎:服部さんは人生における時間に対しての意識も強いですよね。
服部:自由に動いて生きられる時間があとどのくらいあるか…と思うと焦るし、それが行動力に繋がっています。生き急いでいるように感じる人もいるかもしれませんが、私は「生き急ぐ」ことをポジティブに捉えています。動けば動くほど、人を巻き込んで、色々な刺激をもらえて、自分が成長できる。だから自分を奮い立たせる意味で、時間や年月というのは意識して動いています。
篠崎:優先順位の整理はどうされていますか?
服部:スケジュールを入れていけばこなすしかないので、とにかく入れていく。ただ自分の得意・不得意は絶対にあるので、不得意なことは周囲に頼ります。その代わり自分の強みを把握し、自分にしか出来ないことを追求します。これは私だけでなく、スタッフにもそうするよう伝えています。
篠崎:服部さんからは人に対する情熱やエネルギー、愛情を感じます。今回のセミナーも私がDMしたことをきっかけに受けてくださいました。
服部:放っておけないんです。女性ってちょっとしたきっかけが自信になって大きな力を発揮できるものだと思うので、私はその背中をそっと押せる存在でありたいんです。それによって変わった人を見るとすごく喜びを感じます。インスタグラム上でもよくDMにお返ししていますし、恋愛で苦しんでいる子からメッセージをいただいて、電話までしたこともあります(笑)。背中を押せるなら、自分の時間を少しでもその人に注ぎたいと思います。
篠崎:突然の電話!それは驚きましたが、だからこそファンがどんどん増えていくんでしょうね…感動しました。服部さんは冷静な分析力と愛情深さの双方を持っていらっしゃるように思います。
服部:何においても中間で考えるようにしています。情熱を持って仕事をしていかないといけない一方、数字を出す、単価を上げるということも重要です。私は数字を出すことに喜びを感じるんです。他人から見たら「高い」と思われる金額だったとしても、それ以上にお客様が喜んでくだされば、「高い」から「感動」という言葉に変わります。情熱とリアリティとの間で仕事をするように意識しています。
篠崎:個人事業主で仕事をしている人は、単価の付け方に迷うことも多いと思います。ぜひ考え方のコツについてお伺いできますか。
服部:メニュー化とか、金額の単価設定について先に考えがちですが、まずはお客様に喜んでいただくために何をどうしたら良いかを考えると、必然的に単価が上がっていくと思います。お客様に対してどんな話し方で、どんなタイミングで声をかけ、表情を察知するか。そういった細かいところにも意識をするとお客様の満足度は変わっていきます。例えば営業職だったとしても、お客様にいただいた時間に感謝をして、それを明確に伝えること。相手が求めていることを分析して、プレゼンすること。そういった意識が重要だと思います。
篠崎:小さな言動から信頼や期待が積み上がっていきますよね。
自分が決めた「夢」を叶える方法は?

篠崎:お仕事の中でのスイッチの入れ方、ルールや決めていることはありますか。
服部:どんなに苦しくても、依頼をいただいた以上、その日は「その人のための時間」だということですね。その1分1秒に金額が発生している。その認識を持っていれば、「今日は嫌だな」という感情が生まれなくなると思います。いつでも自分に問いかけて、「自分が花嫁だったら、ヘアメイクを服部由紀子にやってもらいたいと思えるか」を考えます。それはどの立場でも同じで、自分がお金を払って依頼をする時に自分自身にやってもらいたいかどうかを思いながら、仕事のスイッチを入れると良いと思います。
篠崎:「情熱大陸」への出演は、もともと出るという目標を掲げていらっしゃったそうですね。「夢の叶え方」についてぜひお聞かせください。
服部:この頃、担当していた花嫁の皆様が、毎回私を披露宴の中で自慢の担当ヘアメイクとして紹介してくださっていたのです。人生の大事な瞬間に、いちヘアメイクの私を紹介するために時間をくださるなんて、普通ではありえないことです。その時、私はマイクを持って「いつか「情熱大陸」に出られるようなアーティストになります」と宣言していました。そういう番組に出ることは、これまで依頼してくれた花嫁さんにとっても恩返しになるし、自慢の人間になれると思ったんです。
そして宣言したからには、自分の発言は自分が責任を取ると決めていました。出演が決まった時にスタッフさんから、他にも候補者はいたけれど、私のファンの方から多くの手紙が届いていたことが決め手になったと伺いました。それを聞いてものすごく嬉しくて、涙が出そうになりましたし、公言したことが夢の実現に繋がったと実感しました。
自分がやりたいことに躊躇したら、全てがストップしてしまいます。でも自分がやりたいことをやるというのは自分の権利だと思うので、恥ずかしがらずにどんどんやっていってほしいです。
篠崎:公言したことで、ファンの皆さんもその夢を応援されていったのですね。他に夢を叶えるために意識していることはありますか?
服部:自分の能力を信じて言い切ることだと思います。絶対大丈夫、絶対に成功させる。自分にも、お客様にも言いますね。「あなたのために絶対に成功させるから付いてきてね」と。そう言うことで自分へのプレッシャーにもなりますし、100%以上の結果を出すという約束にもなります。お客様はその言葉を聞いて「この人を信じてみよう」という気持ちになってくれる。だから最初に「契り」を交わします(笑)。


思いきり悩んで、怖さを味わって

篠崎:ここからは事前に頂いた参加者からの質問にお答えいただければと思います。まずは「周りから反対された時、どう乗り越えましたか?」という質問です。
服部:最初は反対されたとしても、自分がこれでいくという気持ちを強く持って進んでいけば、最終的には応援してもらえると信じています。大変かもしれないけれど、踏ん張ってポジティブに頑張っている人のことは自然と応援したくなるはず。私の両親も最初は反対していましたが、今は活躍を喜んでくれています。
篠崎:「決断する時の怖さとどう向き合ったら良いでしょうか?」という質問も寄せられました。
服部:私も怖いと思う瞬間はあります。でも迷う時間は悪いことだと思わないし、迷いまくって、悩んだからこそ、決断が強くなるのだと思います。だから思いきり悩んで、怖さを味わってほしいです。

服部:言葉で何かをやってもらうのではなく、まずは自分が率先して楽しむ姿を見せるべきなのかなと思います。結婚式はたった1日、披露宴がスタートしたら2時間半しかありません。その中で良い技術を提供しながら、新郎新婦を大満足させるためにはチーム一丸となってやっていかなければいけません。私の仕事はヘアメイクですが、必要な時は率先して他の仕事も買って出ます。「私扉を開けるの上手いのでやりますよ」とか。初めての現場や、お邪魔させていただく立場だったとしても、皆さんと同じ立場で頑張るから何でも言ってくださいね、というのを行動で示したいんです。そのためにはまずこちらから手を差し伸べたり、背中を見せたりすることが大事だと思います。


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